九十九里のイシグロダイ
今夏、九十九里の海を叔父と散歩する機会がありました。
少々曇り空であまり暑くはなかったです。
波がかなり高く荒く、見ていて少々怖かったです。
驚いたのは、こんな荒海で海水浴を楽しむ家族連れが
複数いたことです。しかも子供はおそらく10歳以下。
砂浜には遊泳禁止の立て看板がありました。
夏休みになると、水難(死亡)事故のニュースが恒例と
なっています。8月にはパチンコ店駐車場における車内での
(児童)死亡事故も同様です。毎年必ずこれだけ報道されているのに
まだやるか!と驚愕します。この程度なら大丈夫だろうという
浅はかな親の甘い見通しが悲劇を呼びます。
そういう意味では人災です。危険を感じるにもある程度の知性
とか偏差値が必要なんだなと感じている今日この頃です。
我が子がちょっとくらい波にのまれても、すぐに助けられると
タカをくくっているのでしょう。ガキの方もちょっとは危機感
や恐怖感を覚えろよと多少苛立ちながら岸壁に向かいました。
岸壁とは海に向かって出張っている直方体のコンクリのアレです。
岸壁には釣りや投網漁をする人達がいました。
投網は初めて間近で見ました。身体を大きく回転させて網が
広がるように投げ入れます。獲物のバケツを覗くと、見たこともない
黒く平たく気持ち悪い魚がいました。大したものは穫れてなさそうです。
物珍しくて見続けていると、素人目にも分かる鯛らしきお魚が
2尾掛かりました。投網ってどういう仕組なのかと不思議でしたが、網目に
引っ掛かるから底は閉じていなくてOK なんだと理解しました。
投網自体は、何となくカッコいいカラーリングのモノで、3万円くらい
とのこと。生計を立てるためでなくあくまで遊びだそうです。
投網なんて遊びでやって楽しいのか…
こういうのって漁業権とかどうなるんでしょうか。訊きそびれました。
富山に住んでいる叔父は、テトラポットの向こう側に潜って牡蠣を
獲って帰宅したら、漁業権オヤジからどうのこうのと言われたそうです。
ヤマほど獲って、手広く売り歩いてる訳じゃねんだからゴタゴタ抜かす
なよ茶坊主! とか思っちゃいますが「密猟」になってしまいます。
投網の若者に沈めてあるバッグを見せてもらうと、イシグロダイが6尾も
入っていました。売ってもらうよう交渉すると、只でいいと2尾持たされ
ました。どうせリリースしちゃうからと言うので、それならと遠慮なく
頂きました。夕飯は刺身です。やりました。
折角獲って何で食べないのか?気が知れない…と思いました。
もう食べ飽きているのか。持ち方も分からないイシグロダイ。
入れ物もありません。叔父が持っていたコンビニ袋に入れました。
この袋は、蛤拾って持ち帰ろうと本気で考えて持ってきたそうです。
これも密猟です。監視カメラありとの警告看板がありました。
イシグロダイはゴツくて背ビレも鋭利でした。もらったはいいけど
どうしようと思い、釣人に訊いたらコンビニで氷買って入れて
シメたらと言われました。シメるって何?道具もないのに…と困りました。
それとも氷入れた=シメたとなるのでしょうか。多分違うでしょう。
後から考えると、できる訳ないの分かってて言っていたと思います。
氷だけ入れて速攻で帰りました。
ここまで画像がないのはスマホを携帯していなかったからです。
帰宅すると叔母にお土産だと言って渡しました。てっきり喜んでくれると
思っていたのですが、逆に怒られました。
以前、ご近所から猪肉をドンともらって処理に困ったそうです。
経験の無い食材はどう捌いていいか分からないからです。
ジビエ料理食べられていいと思いますが、始末できないそうです。
今回の鯛ですが、まず出刃包丁が無いので無理となりました。
普段使っている包丁では小さくて鱗ひとつ取れません。
鎧みたいな身体をしています。
初公開ウチの母ちゃんです。鯛の持ち方も多分分かってない。
結局鱗はハンバーグ用のナイフでガリガリやって何とかなりました。
頭を落とすどころか、ヒレすら処理できない。とにかく歯(刃)が立たない。
20年前、茨城にアナゴの夜釣りに行ったことがあります。勿論私は初体験で
仕掛けひとつ作れません。友人にいちから教えてもらって、「棚合わせろ」とか
よく分からないことを言われながら太いのを釣りました。
アナゴは凶暴で、指食われるかと恐ろしかったです。身体も筋肉の塊でした。
結構大漁で、友人宅で調理してもらいました。友人はアナゴを手際よく
捌いて天ぷらとか4品くらい出してくれた記憶があります。刺身もあった
気がします。当時当たり前みたいに喜んで食べていましたが、
あの男は顔面だけで判断すると、あまりアタマ良さそうではなかったけど、
結構凄かったんだなと今更ながら感心した次第です。悪いことしました。
姉妹で試行錯誤中です。
2人は富山出身です。魚(イシグロダイ)くらいパッと切ってサッと刺身に
するくらい簡単だろと思いましたが、また怒られるかと思い黙って大人しく
横で見ていました。
悪戦苦闘の末、何とかお刺身になりました。
卸した経験がない割には、出刃もない中で上手にやったと
思います。ちょっと認知症だけど、やはり半世紀以上主婦を
してきた母ちゃんの実力は伊達じゃないのだと思いました。
あんなちょっとした怪獣みたいな魚を見事に捌きました。
さっきまで荒海で泳いでいた鯛の刺身ですから、さぞかし美味い
だろうと期待が高まります。
…
…
…
味見で食べました。う〜ん…
結論としてそれほどでもという感じでした。
美味しいけど、スーパーで売っているのと互角くらいです。
旬ではなかったのか、たまたま脂がのっていない個体に
当たったか。
イシグロダイをくれた投網の若者もこの結果が分かっていたのかも
知れません。そもそも若い奥さんではそうそう卸せる人は
いない気もします。だからリリースとか言っていたのかもしれません。
当初は斧かナタでもないと落とせないと思われたカブト。
どうにか食卓までこぎ着けました。
煮付けの方が美味しかった気がします。
味噌汁もできました。
食材費0円で鯛を味わわせてもらえたので、それだけで良かったと思います。