レンダリングとは
レンダー、レンダラー、レンダリング。これらの用語が
分かる人は世の中でどれくらいいるモノでしょうか。
「レンダリング」とは「コンピュータの演算処理の結果に
基づき最終的に画像を生成する」という意味です。
まずは、ほとんどの一般人が知らないであろうところ
から入ります。
ウェブサイト、世間的には「ホームページ」と言っていますが
これは厳密に言えば誤用が一般化し(てしまっ)た呼称です。
野球で例えますが、本塁と1〜3塁のこれらを引っくるめて
「ホームベース」と呼称している人がいたら違和感を覚え
るかと思います。「ホームページ」と私の耳に入った場合、
ほぼ100% 上記同様の行為となっています(当社比)。
ですので、私は基本的にはこのワードを言いません。
そもそも誤用に関しては、言い出したらキリがないのですが…
「役不足」、「確信犯」、「破天荒」、「一姫二太郎」。
これらの日本語は簡単なようでいて、実は意味を取り違えて
いる人の方が多いようです。
誤用が世の中に定着してしまったワードの代表格です。
本来ホームページとは、文字通りそのサイトにおいて「ホーム」に
なる(特定の)ページだけを指します。
で、ここから様々なコンテンツ(機能)に遷移していきます。
Yahooだと、メール、乗換案内、ショッピング、オークション等
になります。別コンテンツに遷移したければ、1回ホームに戻って
から…ということになります。
なので、ホームページの正しい意味としては、トップページと
ほぼ同義と考えて良いと思います。
で、ウェブサイトを構成する各ページですが、制作(製作)工程を
(すごく)簡単に言うと、「テキストと画像を用意して、HTML と
いうタグ言語にて画面内配置を指定する」となります。
ですから、画像データさえ用意すれば、あとは「メモ帳」等の
エディタソフトのみで最低限のコンテンツ作成は可能です。
ブラウザとしては、昔のWin で言えば、IE(インターネット
エクスプローラー)、今はEdge でしょうか。
アップルデバイスだとSafari が標準で使えます。
で、このブラウザはHTML ファイルを解析、画像とテキストを
指定の通りに配置、最終的な画面を生成/出力するという
処理を行います。
これもレンダリング処理(の一種)です。
レンダリング処理を行うプログラムエンジンを「レンダラー」と
言います。
ブラウザソフトは沢山存在しますが、私でも(その気になれば)
実装は可能です。その際、レンダラー部分は既存のモノを組み込ませて
もらうのが一般的です。
マイナーな方のレンダリングの説明はこれで終了です。
因みに動画編集ソフトも編集して、テロップとBGM 入れて、最後に
動画を書き出します。これもレンダリングです。
有名(一般的)な方のレンダリングの話に入ります。
3DCG です。令和の現在、CG は映画、テレビで当たり前に使用されて
います。「ワイヤーフレーム」は昔からよく見かけると思います。
これは、コンピュータ上に3次元座標データにて対象となる物体の形状を
定義したモノです。クルマ、人、キャラクター、街並み、あらゆるモノを
仮想空間(モニタ)内の粘土を捏ねくり回して形状を完成させます。
この工程が「モデリング」です。ここではあくまで形状だけです。
モデリング後は、表面の「質感(テクスチャ)」を作成します。
例えば、1個の直方体が空間内にあったとします。この物体が何であるかは、
形状だけでは表現しきれません。絵画と同様です。木材として表現したい
なら、まずは木目模様が必要です。
レンガであれば、赤いザラザラの石肌になります。
絹ごし豆腐であれば、白くして光沢設定の数値を上げて濡れた感じを
出すべき。
何かの製品の外箱であれば、ロゴやシール、印刷等の画像が必要です。
ダンボール素材ならつや消しにします。
直方体表面に貼り付ける画像をペイントソフトで描く必要があります。
場合によっては、写真等もありです。このテクスチャの出来次第で、
リアルなCG 画像、あるいはちゃちなモノになったりします。
モデル、テクスチャ、ライティング等の諸々を設定したら、後は
レンダラーのボタンを押します。
レンダラーはモデル(ワイヤー)に指定されたテクスチャ画像を
貼り付けて、指定の光量(ライティング)等にて最終画像を生成します。
以上がレンダリングについての基本的な説明です。
次はワンランク上のレンダリングについてです。
物体がガラスやアクリルであれば、透明度の設定が必要です。
何か分からないけど、金属製のピカピカで顔が映る程であれば
それなりの反射率に設定する必要があります。
キャラクターが水面を見ていれば、そこに顔が映ります。
陽光を浴びてクルマがオフィス街を走行すれば、そのガラス、
ボディには周囲のビル等が映り込みます。
これら(反射や映り込み)を再現したければ、ただのレンダリング
ではなくレイトレーシング(光線追跡法)の採用が必要となります。
計算の負荷が大きく膨らんで、レンダリング時間も飛躍的に伸びます。
映画であれば、制作時間や修正、リテイクが圧迫されます。
現実世界では、部屋にある物体同士の間接光の照り返しで
影の落ち方も複雑になるそうです。
これをCG で忠実にシミュレートしたければ、レイトレの
更に上を行く「ラジオシティ」というレンダリング方式が
必要だそうです。近年はこのワードを聞くことがありません。
余りの演算負荷の大きさに廃れたのかもしれません。
因みに、CG =フォトリアルと思われている節もありますが、
アニメ用のレンダリングも昔からあります。
輪郭線の強弱とか、影の落ち方を簡略にしたりとか設定次第で
手書き風にも寄せられます。トゥーンレンダリングと言います。
CG ですが、制作自体は一般人でも可能です。
レンダラーの説明はしましたが、「モデラー」もあります。
モデリングのみに特化したソフトウェアです。
モデリングして、ペイントソフトでテクスチャを描いて
レンダラーに渡せばCG 映像は制作可能です。全てフリーの
モノを使えば、PC と時間以外のコストはかかりません。
オールインワンで揃っているモノもあります。
次にリアルタイムレンダリングの話も書くつもりでしたが、
今回はここで終わろうと思います。